貨物軽自動車運送事業では、安全管理者の選任は法改正で義務になっています。営業所ごとに、貨物軽自動車安全管理者を選任する必要があります。貨物軽自動車安全管理者になるには、事前の講習受講と2年ごとの定期講習の受講が必要です。国土交通省のパンフレットに基づいて詳しく解説します。
貨物軽自動車運送事業とは
貨物軽自動車運送事業とは、軽トラックや軽バンといった車両(排気量660cc以下の軽自動車)を使用して、他人の荷物を運送し、その対価として運賃を受け取る事業です。
事業を開始するには、国土交通省への届出が必要です。届出が受理されると、事業用自動車(黒ナンバー)を交付されて事業を始めることができます。
法改正が必要だった理由
ネット販売などの拡大によって宅配便の取扱個数が増加しています。平成28年から令和4年にかけて、保有台数1万台当たりの事業用軽自動車の死亡・重傷事故件数も約5割増加しています。
令和6年5月15日に「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」(令和6年法律第23号)が公布されて貨物自動車運送事業輸送安全規則(平成2年運輸省令第22号)についても改正されました。

新制度の概要
従来より貨物自動車運送業では、下請構造や口頭による運送契約の契約など、適正な運賃や料金が課題となっていました。課題に対応するため、トラック法が改正されることになったのです。主な内容は次のとおりです。
1.運送契約締結時等の書面交付義務
2.下請事業者の健全な事業運営の確保に資する取組(健全化措置)を行う努力義務、当該取組に関する運送利用管理規程の作成・運送利用管理者の選任義務
3.実運送事業者の名称等を記載した実運送体制管理簿の作成・保存義務 などの規制的措置を導入
貨物軽自動車安全管理者の選任と講習受講の義務付け
貨物軽自動車運送事業者(バイク便事業者は除く)に対して、営業所ごとに「貨物軽自動車安全管理者」を選任して講習の受講が義務付けられました。選任時には運輸支局などを通じて国土交通大臣への届出を行われなければなりません。
業務記録の作成・保存の義務付け
貨物軽自動車運送事業者(バイク便事業者は除く)は、毎日の業務開始・終了地点や業務に従事した距離等の記録の作成及び1年間の保存を義務付けられました。
事故記録の作成・保存の義務付け
貨物軽自動車運送事業者に対して、事故が発生した場合、その概要や原因、再発防止対策等の記録の作成及びこれらの記録の3年間の保存が義務付けられました。
国土交通大臣への事故報告の義務付け
貨物軽自動車運送事業者に対して、死傷者を生じた事故など、一定規模以上の事故について、運輸支局等を通じて国土交通大臣への報告が義務付けられました。
運転者への指導・監督及び適性診断の義務付け
事故惹起運転者、初任運転者、高齢運転者など特定の運転者への特別な指導及び適性診断の受診が義務となっており、運転者の氏名、当該運転者に対する指導及び当該運転者の適性診断の受診状況等を記載した貨物軽自動車運転者等台帳を作成して営業所に備え置くことを義務付けられました。

安全管理者について
安全管理者とは、事業用自動車を一定台数以上保有する事業所において、運行の安全を確保するための業務を統括・管理する役割を持つ者です。主な役割としては、運行計画の作成、乗務員の指導・監督、車両の整備管理、事故防止策の策定などがあります。
貨物軽自動車運送事業者は、営業所ごとに貨物軽自動車安全管理者を選任しなければなりません。
安全管理者の選任と届出
貨物軽自動車運送事業者は、営業所ごとに「貨物軽自動車安全管理者」を選任しなければなりません。
貨物軽自動車安全管理者は後述の講習の内容を理解して課せられている安全対策を確実に行うようにします。
- 貨物軽自動車安全管理者を選任したときは、次の項目について運輸支局等に届出しなければなりません。
- 貨物軽自動車運送事業者の氏名又は名称
- 貨物軽自動車安全管理者の氏名及び生年月日
- 貨物軽自動車安全管理者の選任年月日及び講習修了年月日
初任運転者等への指導及び適性診断の受診
- 貨物軽自動車運送事業者は、次の運転者に対して指導をしなければなりませんし、国土交通大臣に認定された適性診断の受診をさせなければなりません。
- 初任運転者(過去に一度も特別な指導・適性診断を受けていない者)
- 高齢者(65歳以上の者)
- 死者又は負傷者が生じた事故を引き起こした者
貨物軽自動車運送事業者は、運転者の氏名、当該運転者に対する指導及び当該運転者の適性診断の受診状況等を記載した貨物軽自動車運転者等台帳を作成し、これを営業所に備え置かなければなりません。
具体的な業務の記録内容
- 貨物軽自動車運送事業者は、行った業務について主に以下の項目等の記録を作成し、1年間保存しなければいけません。
- 運転者等の氏名
- 車両番号(ナンバープレート等)
- 業務の開始、終了及び休憩の日時
- 業務の開始、終了及び休憩の地点
- 業務に従事した距離
- 主な経過地点
具体的な事故の記録内容
- 貨物軽自動車運送事業者は、事故が発生した場合、次の項目の記録を作成して3年間保存しなければなりません。
- 乗務員等の氏名
- 事故の発生日時
- 事故の発生場所
- 事故の概要
- 事故の原因
- 再発防止対策
国土交通大臣への事故報告
貨物軽自動車運送事業者は、死傷者を生じた事故など、重大な事故が発生した場合、30日以内に所定の様式により運輸支局等を通じて国土交通大臣に報告しなければなりません。また、2人以上の死者を生じた事故等、重大な事故については、24時間以内に速やかに運輸支局等に速報しなければなりません。
貨物軽自動車安全管理者の講習受講
貨物軽自動車運送事業者は、貨物軽自動車安全管理者に選任しようとしている者に貨物軽自動車安全管理者講習を、貨物軽自動車安全管理者に貨物軽自動車安全管理者定期講習を、国土交通大臣の登録を受けた講習機関で受講させなければなりません。
貨物軽自動車運送事業以外の貨物自動車運送事業もしている場合であれば、運行管理者として選任されている者は除かれます。
貨物軽自動車安全管理者講習
貨物軽自動車安全管理者の選任にあたり受講します。
貨物軽自動車安全管理者定期講習
選任後2年ごとに受講します。
登録貨物軽自動車安全管理者講習機関
貨物軽自動車運送事業者は、営業所ごとに、貨物軽自動車安全管理者を選任する必要があります。貨物軽自動車安全管理者になるためには、事前の講習受講と2年ごとの定期講習の受講が必要となり、国土交通省が登録した機関において受講するようにします。
登録機関名(登録番号): 独立行政法人 自動車事故対策機構(JG001)
所在地: 東京都墨田区錦糸3丁目2番1号アルカイースト19階
問い合わせ先: 03-5608-7641/03-6853-7690
登録を受けている講習の名称: 貨物軽自動車安全管理者講習
講習の実施方式 :eラーニング
登録機関名(登録番号):ヤマト・スタッフ・サプライ株式会社(JG002)
所在地:東京都中央区明石町6-26 KPP明石町ビル 3 階
問い合わせ先:03-6671-8791
登録を受けている講習の名称: 貨物軽自動車安全管理者講習
講習の実施方式 :eラーニング
運転者の勤務時間の遵守
安全な運行のために以下の内容を守り、運転者に休憩や休息を十分に与えなければなりません。
1年、1か月の拘束時間
1年:3,300時間以内、1か月:284時間以内
1日の拘束時間
13時間以内(上限15時間、14時間超は週2回までが目安)
1日の休息期間
継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らない
運転時間
2日平均1日:9時間以内、2週平均1週:44時間以内
連続運転時間
4時間以内



