建設業は必ずしも建設業許可は必要ありませんが、少し大きな請け負い案件になると必要になるので、一般的に取得する方向になっています。
最近は、行政の手続きも電子申請がすすんでいますが、建設業許可申請の電子申請について詳しく解説します。
建設業許可とは
建設業許可とは、一定規模以上で、ある程度の大きさの建設工事を請け負う建設業者が、国や都道府県から取得する許可になります。
下請契約を含めて、1件の請負金額が500万円以上(建築一式工事は1500万円以上または、延べ面積150平方メートル以上の木造住宅となる工事を請け負う場合には、建設業許可が必要になります。
なお、500万円と1500万円というのは消費税を含みます。
許可の種類
建設業許可にはおおきく分けて4種類あります。
国土交通大臣許可
2つ以上の都道府県に営業所がある場合に国土交通大臣許可が必要になります。
都道府県知事許可
1つの都道府県内にのみに営業所がある場合には都道府県知事許可となり都道府県庁などで申請します。
一般建設業許可
発注者から直接請け負った1件の工事について、下請けに出す金額の総額が5000万円未満(建築一式工事の場合は8000万円未満)である場合に必要になります。
特定建設業許可
発注者から直接請け負った1件の工事について、下請けに出す金額の総額が5000万円以上(建築一式工事の場合は8000万円以上)になる場合に必要になります。特定建設業の許可を取るよりも厳しい財産的要件などがあります。
さらに、許可には29業種(土木工事業、建築工事業、電気工事業、内装仕上工事業、塗装工事業など)があります。業種によって要件が異なる場合があります。
許可を取得するには、経営業務の管理責任者、専任技術者(営業所技術者)、財産的基礎、欠格要件の有無など、いろいろな要件を満たす必要があります。

建設業許可申請は電子申請になるの?
2025年5月の段階では、まだ、建設業許可の新規申請、業種追加や更新などの申請手続きは、書面となっており、ほとんどの自治体では窓口への持参や郵送での提出となっています。今はまだ、建設業許可の新規申請や更新申請などが完全に電子申請に移行し、義務化されているわけではありません。
しかし、建設業、建設業許可に関連する経営事項審査(経審)は、電子申請ができるようになってきています。
国土交通省は、将来的に建設業許可の手続きを電子申請化する方針を出しており、準備がすすめられているようです。国の行政手続きのデジタル化の流れを受けて建設業許可申請の手続きでも電子化される可能性は十分にあります。
電子化の最新の情報は、申請先の国土交通省や都道府県庁の公式ホームページを確認するか、行政書士に相談するとよいでしょう。

建設業関係で電子申請をするのは?
建設業関係でも電子申請がすすんでいる分野もあります。
経営事項審査(経審)
令和5年より、全国で電子申請の運用が開始されています。建設キャリアアップシステム(CCUS)の情報との連携もすすんでいます。
経営事項審査(経審)とは、国や地方公共団体が発注する公共工事の入札に参加するために必要な建設業者の経営状況や能力などを審査する制度のことです。工事の質や安全性を確保して公平な競争を促進するためにこの制度が設けられています。
入札参加資格申請
自治体によって異なっていますが、各自治体の入札参加資格申請が電子化されているところがあります。
建設キャリアアップシステム(CCUS)
建設技能者の就業履歴や資格情報の電子管理がすすんでいます。登録や変更申請もオンラインでできるようになっています。
建設キャリアアップシステム(CCUS)は、国土交通省が推進する建設業の技能者の就業履歴や資格情報を業界横断的に登録して蓄積、技能者のキャリアを可視化する仕組みのことです。
社会保険・労働保険関係
社員の入退社の資格取得や喪失の手続き、年度更新、算定基礎届の提出などは、e-Gov(電子政府の総合窓口)を利用した電子申請ができるようになっています。大企業を中心に、電子申請が義務化されている手続きもあります。
建設業退職金共済制度(建退共)
掛金納付状況の報告、退職金の請求などは、電子申請システムになっている場合があります。
その他
産業廃棄物処理業の許可申請、建設リサイクル法関係の届出などの手続きにも電子申請ができる手続きがあります。