建設業者の方から看板やサインも建設業許可が要不要を聞かれることがあります。看板やサインであっても、工事の規模・金額や工事内容によっては必要な場合がありますので詳しく解説します。
建設業許可とは
建設業許可とは、建設工事を請け負う事業者が一定の規模を超えて工事を行う際に必要となる許認可です。
- 建設業許可が必要になる場合は次の場合です。
- 500万円(税込)以上の工事一式
- 建築一式工事では1,500万円以上または延べ面積150平方メートル以上の木造住宅工事
このいずれかに該当する場合、建設業許可を取得しなければ工事を請け負うことはできません。
ただし、軽微な工事(上記の金額や規模未満)であれば許可を持たずに施工することもできます。
建設業法には次のように記載されています。
建設業法第3条 建設業許可
ア 建設業を営もうとする者は、軽微な建設工事のみを請け負う場合を除き、建設業法第3条の規定に基づき、建設業の許可を受けなければなりません。
イ 「軽微な建設工事」とは、工事1件の請負代金の額が建築一式工事以外の建設工事の場合にあっては、 万円未満、建築一式工事にあっては 500万円未満又は延べ面積が 1,500平方メートル未満の木造住宅の工事をいいます。
大阪府の場合、問い合わせや書類の提出先は下記になります。
大阪府庁 建築振興課 建設業許可グループ
大阪市住之江区南港北1-14-16 大阪府咲洲庁舎1階

建設業法における看板工事・サイン工事
建設業法では、建設工事は29種類に分類されており、看板やサイン工事は次のように解釈されています。
看板工事やサイン工事の「設置方法」「規模」「材料」によって、建設業許可が必要かどうかが変わってきます。
鋼構造物工事業
鉄骨で作られる大型看板や構造物一体型のサインは、鋼構造物工事業に含まれると解されています。
建築工事業・内装仕上工事業
建物の外壁や内部に取り付けるサインや装飾的な工事は、建築一式工事や内装仕上工事業に該当することがあります。
とび・土工工事業
看板の設置に際して、足場を組んだり、重機を使って基礎工事を行ったりする場合、この業種に該当することがあります。
屋外に設置される大型の看板や広告塔は、とび・土工工事業や建築工事業に該当することがあります。独立して設置される広告塔や、建物の壁面全体にわたる大型サインは、工作物として建設業法の対象になります。
看板工事の場合
看板工事といっても種類はいろいろあります。
・ポール式・自立式の大型看板
土台の基礎工事や鉄骨の設置を伴う場合、500万円以上であれば建設業許可(鋼構造物工事業など)が必要です。
・壁面看板や袖看板(突出看板)
外壁に固定するための金具や補強工事を行う場合、規模によっては建築工事や鋼構造物工事に該当します。
・電飾看板(LED、ネオンなど)
電気工事を伴う場合は、建設業許可のほか「電気工事業登録」が必要になる場合もあります。
電気工事業登録は、電気工事業の業務の適正化に関する法律(電気工事業法)に基づき、電気工事業を営む者が、営業所の所在地を管轄する都道府県知事または経済産業大臣に申請または届出を行う制度です。
屋外サイン工事の場合
屋外広告物として設置するサインは、安全性の観点などから建設業法上の規制となる場合があります。
大型のモニュメントサイン、立体的なサインは鋼構造物工事業になり、基礎工事を伴うサインは土木一式工事・建築工事業の可能性が高いです。
いずれにしても、500万円以上の工事となれば建設業許可が必要となります。
また、屋外広告物条例による規制(各自治体の許可)が別途必要になるため、建設業許可と並行して確認することが重要です。
屋内サイン工事の場合
室内などの屋内サイン工事は比較的小規模な場合が多いので、金額面からも建設業許可が不要となることが多いですが、例外もあります。
案内板や壁面サインの取付けは軽微な工事となる可能性が高いので建設業許可が不要な場合がほとんどですが、大規模工事は必要になることもあります。
内装デザインと一体となったサインは内装仕上工事業に該当する可能性が高いです。電気配線を伴うサイン工事となると電気工事業登録が必要になります。
このように屋内サイン工事は比較的、軽微な工事として扱われやすいものの、請負金額や工事内容次第では建設業許可が必要になります。
電飾看板の場合は、看板自体の設置が内装仕上工事業に該当しても、電気配線工事の部分は電気工事業の許可が必要となる場合があります。

まとめ
- 看板工事やサイン工事に建設業許可が必要かどうかは、次の条件で判断されます。
- 請負金額が500万円以上かどうか
- 工事の内容(基礎工事、鉄骨、電気配線などを伴うか)
- 工事の分類(鋼構造物工事業、内装仕上工事業などに該当するか)



