大阪の産業廃棄物処理業許可の区分と許可の要件について詳しく解説

コラム

大阪府・大阪市・堺市東大阪市・高槻市・豊中市・枚方市・八尾市・寝屋川市・吹田市の手引きが分かりづらいという意見がありましたので補足して詳しく解説します。

(参照元)産業廃棄物・特別管理産業廃棄物の手引き
https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/621/kyokanotebikiyoushikisyuu.pdf

産業廃棄物処理業の許可とは

産業廃棄物は、工場や建設現場などの事業活動から発生する廃棄物であり、適切に処理しなければ環境汚染や健康被害を引き起こす可能性があります。

産業廃棄物を運搬や処分する事業を行うには、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)に基づき、大阪府など都道府県知事などからの「産業廃棄物処理業許可」が必要です。

許可を受けずに処理業を行った場合には、無許可営業として罰則(懲役・罰金)が科されるため、必ず事前に許可を取得することが求められます。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律

第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。

産業廃棄物処理業の許可の区分

産業廃棄物処理業の許可は、大きく分けて次の二つに区分されます。

収集運搬業許可

産業廃棄物を発生場所から処分場まで運搬する業務を行う許可です。「積替え、または保管を含まない」かによっても違ってきます。

許可のある積替え・保管施設以外での廃棄物の車両等から車両等への積替えや一時的な保管、廃棄物を積んだ車両等を日付を越えて停めておくことはできません。

「積替え又は保管を含む」とは収集した廃棄物を積替え・保管施設において積替え・保管し、中間処理施設又は最終処分先等に運ぶことです。

処分業許可

産業廃棄物を中間処理・最終処分する業務を行う許可です。

また、再生を含む「中間処理」か埋立処分をする「最終処分」によっても違ってきます。

中間処理とは焼却・破砕・中和等により、減量化、安定化することで特別管理産業廃棄物については、無害化、安定化し、特別管理産業廃棄物でなくすことです。最終処分とは埋立てにより廃棄物を自然界に還元することです。

産業廃棄物による区分

さらに、それぞれについて「通常の産業廃棄物」と「特別管理産業廃棄物(有害性が高い廃棄物)」の区分があり、実際には以下の4種類となります。

  1. 産業廃棄物収集運搬業
  2. 特別管理産業廃棄物収集運搬業
  3. 産業廃棄物処分業
  4. 特別管理産業廃棄物処分業

産業廃棄物処理業とは

産業廃棄物処理業とは、産業廃棄物を安全に処分する業務を行うことを指しており、主として中間処理業と最終処分業に分かれます。

処分業は施設を必要とするため、許可基準は特に厳しく設定されています。

中間処理業

焼却、破砕、圧縮、脱水、溶融など、廃棄物を減量化・安定化する処理です。

最終処分業

埋立処分、海洋投入処分(原則禁止)など、廃棄物を最終的に処分する仕事になります。

産業廃棄物収集運搬業とは

産業廃棄物収集運搬業とは、産業廃棄物を排出事業者から引き取り、処分施設まで安全に運ぶ仕事です。

この仕事は、廃棄物が飛散や流出すれば、重大な環境被害を起こすため、適切な車両・容器・運搬体制が求められます。

収集運搬業を行うには、運搬区域ごとに都道府県知事の許可を取得しなければなりません。

産業廃棄物処分業とは

産業廃棄物処分業とは、産業廃棄物を実際に減量化、無害化、安定化や埋立をする仕事です。

処分業は以下に大別されます。

処分業は施設整備や維持管理に多額の費用がかかるため、大規模な事業者が中心となっています。

中間処分業

焼却、破砕、選別、脱水、固化など

最終処分業

安定型最終処分場、有害物を安全に埋立処分する管理型最終処分場

収集運搬業と処分業の違い

両者の違いは「業務の対象」と「許可要件」にあります。

収集運搬業

廃棄物を運ぶだけです。施設は不要になります。車両・容器の基準や運搬経路の管理が重視されています。

処分業

廃棄物を実際に処理します。施設が必要になり、周辺環境への影響評価や維持管理体制が厳格に審査される。

処分業は収集運搬業よりもはるかに高いハードルがあります。

産業廃棄物処理業許可の要件

許可を受けるためには、廃棄物処理法に基づき次の要件を満たす必要があります。

なお、紛らわしいですが、「処理業」とは「収集運搬業+処分業」であり、 「処分業」とは「中間処理・最終処分」のことになります。ここでは処理業の要件を解説します。

欠格要件に該当しないこと

たとえば、過去に無許可営業で罰則を受けている、暴力団関係者であるなどです。

人的要件

収集運搬業は産業廃棄物処理に関する講習会を修了した「収集運搬課程修了者」が必要です。

処分業では、処分業課程の講習会修了者が必要になります。

財産的要件

安定的な経営基盤(自己資本要件、欠損の有無など)

施設・設備要件

許可基準に適合する処理施設や車両の保有

申請時には必要な施設等 (ダンプトラック、吸引車等の運搬車両、ドラム缶、フレキシブルコンテナバッグ等の運搬容器等)を有する必要があります。

大阪の手引きでは次のように記載されています。

産業廃棄物収集運搬業の場合

① 産業廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのない運搬車、運搬船、運搬容器 その他の運搬施設を有すること。
② 石綿含有産業廃棄物は破砕することのないような運搬方法をとり、他の廃棄物と混合しないよう、 区分して運搬すること
③ 水銀使用製品産業廃棄物は破砕することのないような運搬方法をとり、他の廃棄物と混合しない よう、区分して運搬すること。
④ 水銀含有ばいじん等は、運搬中に揮発した水銀が運搬容器又は梱包から漏れることのないような 措置をとり、高温にさらされないよう運搬すること。

特別管理産業廃棄物収集運搬業の場合

① 特別管理産業廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのない運搬車、運搬船、運搬容器その他の運搬施設を有すること。
② 廃油、廃酸又は廃アルカリの収集又は運搬を業として行う場合には、当該廃油、廃酸又は 廃アルカリの性状に応じ、腐食を防止するための措置を講じる等当該廃油、廃酸又は廃アルカリの運搬に適する運搬施設を有すること。
③ 感染性産業廃棄物の収集又は運搬を業として行う場合には、当該感染性産業廃棄物の運搬に 適する保冷車その他の運搬施設を有すること。 ※ 具体的には、保冷車と密閉機能をもつ専用容器 又は、密閉車両と密閉機能と保冷機能をもつ専用容器
④ その他の特別管理産業廃棄物の収集又は運搬を業として行う場合には、その収集又は運搬を 行おうとする特別管理産業廃棄物の種類に応じ、当該特別管理産業廃棄物の収集又は運搬に 適する運搬施設を有すること。

事務所要件

実体のある事務所があること。

産業廃棄物収集運搬業の場合

産業廃棄物収集運搬業の許可を取得する場合、次の条件が重視されます。

講習会の修了で「産業廃棄物収集運搬課程」を修了していること
適切な車両・容器が確保されていること。飛散・流出・悪臭を防止できる設備であること。
運搬経路の管理で安全に処分場まで運搬できる計画を立てること。

収集運搬業は比較的参入しやすい分野ですが、実務上は複数の都道府県で許可を取る必要があり、広域対応をする際は許可申請が煩雑になる点に注意が必要です。

特別管理産業廃棄物収集運搬業の場合

特別管理産業廃棄物とは、爆発性・毒性・感染性などの性質を持つ危険な廃棄物(廃油、廃酸、感染性廃棄物など)のことです。

特別管理産業廃棄物では通常の収集運搬業許可に加えて、さらに厳格な基準が課されます。
特別管理産業廃棄物管理責任者の設置
特別管理産業廃棄物講習会の修了
専用の運搬容器・車両の使用
緊急時対応マニュアルの整備

特に医療系廃棄物や化学物質を扱う企業は、この許可が不可欠です。