運行管理者資格者とは、運送事業の法令で定められた安全管理者のことです。資格取得には試験合格が必要であり、選任後も講習や届出などの法的義務が継続的にあります。事業者にとって、運行管理者を適正に選任し指導することは、事故防止と事業存続において重要です。それでは詳しく解説します。
運行管理者資格者とは
運行管理者資格者とは、道路運送法第24条及び貨物自動車運送事業法施行規則に基づき、事業用自動車の運行に関する安全確保のための管理を行う責任者です。
一般貨物自動車運送事業者は、営業所ごとに一定数の運行管理者を選任して運転者の労務管理や運行計画の作成、安全指導などを行わせなければなりません。
ドライバーの過労防止や安全運転の徹底、車両の点検整備の指示など、日々の運行が法令に則って安全かつ効率的に行われるように中心となって業務を行います。
運行管理者は安全担当者だけではなく、事業者の法令遵守(コンプライアンス)を行うな資格者となります。

運行管理者資格の種類
運行管理者資格には、国土交通省(大阪運輸支局など地方運輸局)が管轄する運送事業の区分に応じてトラックなど貨物運送業の一般貨物自動車運送事業用(貨物)とバスやタクシーなど旅客輸送業の2種類があります。一般貨物自動車運送事業用の運行管理者資格者について解説します。
運行管理者資格者の業務と役割
運行管理者資格者の主な業務は、運転者と車両の安全管理に関するものです。具体的には次のような職務が定められています(貨物自動車運送事業輸送安全規則第9条ほか)。
点呼の実施
運転前や運転後の健康状態やアルコールチェックを行います。乗務前、乗務後の点呼で、乗務員の健康状態やアルコールの有無、車両の日常点検の状況を確認します。
運転者の労務管理
勤務時間・休憩・睡眠時間の管理を行います。乗務割を作成して管理します。休憩・睡眠時間が適切に確保された無理のない勤務体制である乗務割を作成して管理することになります。
運行計画の作成と指示
ルート・積載量・休憩時間を作成し指示します。車両の経路、休憩地点などを定めた運行計画を作成してドライバーに指示します。
事故の対応
事故防止のための指導や教育を実施します。事故や違反発生時の報告および再発防止策の立案、事故や車両故障が発生した場合の適切な措置を講じます。
車両の運行状況の把握と記録
運行管理者資格者はドライバーの安全管理者として、日常的に運行全体の安全確保を実施します。点呼記録や乗務記録など、法令で定められた各種記録を作成して一定期間保存します。

運行管理者資格者の要件
- 運行管理者として選任されるには、次の要件を満たす必要があります(貨物自動車運送事業法施行規則第48条など)。
- 運行管理者試験に合格していること
- 運行管理者資格者証の交付を受けていること
- 欠格事由に該当しないこと
過去に重大な法令違反により処分を受けた者などは一定期間選任できませんし、選任にあたっては、営業所ごとに車両数に応じた人数を確保する必要があります。たとえば、事業用自動車29両以下では1名以上、30~59両では2名以上などです。
運行管理者資格の取り方
受験資格
・事業用自動車の運行管理の実務経験が1年以上あること。または、運行管理者基礎講習修了者であること
認定された実施機関で講習(原則3日間)を修了します。
・運行管理者試験に合格
試験は年2回(3月・8月頃)、公益財団法人運行管理者試験センターが実施します。
- 運行管理者試験科目は次のとおりです。
- 貨物自動車運送事業法
- 道路運送車両法
- 道路交通法
- 労働基準法
- 安全運行に関する実務
合格後、基礎講習修了証明書と合格通知書を添えて、運輸支局等に資格者証の交付を申請します。
運行管理者資格者講習
資格取得後も、運行管理者には定期的な講習受講義務があります。
一般講習
選任中の運行管理者が2年に1回以上受講します。制度改正や最新の運行管理に関する知識・技能の習得を行います。
特別講習
法令違反などによって行政処分を受けた場合に指定される講習です。講習は、国土交通省の登録を受けた機関である全国貨物自動車運送適正化事業実施機関などが実施します。事業所が事故等を起こし、行政処分を受けた場合などに、再発防止のために受講が命じられることがあります。
運行管理者資格者証
試験に合格した者は、地方運輸局に申請して「運行管理者資格者証」の交付を受けます。
この資格者証は、運行管理者としての正式な証明書であり、営業所への掲示や点呼時の携帯が求められます。有効期限は設けられていませんが、氏名変更や紛失時には再交付手続が必要です。資格者証には、貨物または旅客のいずれかの種別が記載されています。
運行管理者選任届
運行管理者を選任した場合、10日以内に地方運輸局(または大阪運輸支局など運輸支局)へ「運行管理者選任届」を提出しなければなりません(貨物自動車運送事業法施行規則第47条)。
届出書に記載する主な内容
- 運行管理者選任届に記載する主な内容は次のとおりです。
- 営業所名
- 選任する運行管理者の氏名・資格者証番号
- 選任日
- 管理する車両の台数 など
選任や解任を怠ると、事業者として法令違反に問われることになります。
罰則
運行管理者は、会社全体の安全管理体制を監理する法定管理者であり、資格の形骸化は厳しく取り締まられます。
- 運行管理者に関する義務違反には、次のような罰則や行政処分があります。
- 運行管理者を選任していない場合は業務停止処分または罰金(貨物自動車運送事業法第38条)
- 点呼や指導を怠った場合は行政処分(警告・車両停止・営業停止)
- 不正な資格者証使用した場合は30万円以下の罰金または刑事罰
- 特別講習命令に従わない場合は資格停止や登録取り消しの可能性
運行管理者が業務を怠り、点呼や乗務時間管理を適切に行わなかった場合、輸送の安全確保命令や事業許可の取消しを含む重い行政処分、さらには罰金などの罰則が科される可能性があります。



