建設業許可の更新と変更届けについて決算変更届も解説

コラム

建設業許可とは

建設業許可は、建設工事を請け負うために必要な許可です。建設業法に基づいて一定の要件を満たすことで取得できます。

1件の請負代金の額が500万円未満の工事、建築一式工事の場合は1500万円未満の工事、または延べ面積が150平方メートル未満の木造住宅工事などの軽微な工事を除いて、建設業を営むためには建設業許可が必要となります。

建設業許可の更新

建設業許可の有効期間は5年間です。5年ごとに更新手続きを行わなければなりません。更新手続きしない場合、許可が失効して軽微な工事以外の工事を請け負うことができなくなります。

更新申請は、有効期間満了日の3ヶ月前から30日前までに行うところが多いです。申請期間を過ぎると最初から新しく許可を取得することになります。

更新では、再度、許可基準を満たしているか審査が行われます。経営業務の管理責任者や営業技術者の要件、財産的基礎の要件などが再度、確認されます。

建設業許可の変更届け

建設業許可を受けた後に、許可申請の内容に変更があった場合は、すぐに変更届を提出する必要があります。変更届は、その変更内容によって提出期限が異なります。変更届は原則として変更後30日以内に提出しなければなりません。

  • 建設業許可の主な変更届には次のようなものがあります。
    • 商号または名称の変更
    • 営業所の名称または所在地の変更
    • 役員の就任・退任、氏名の変更
    • 経営業務の管理責任者の変更
    • 営業所技術者の変更
    • 国家資格者の変更
    • 令3条に規定する使用人の氏名または地位の変更
    • 支配人の就任・退任、氏名の変更
    • 本店等所在地の変更
    • 資本金の額の変更
    • 事業目的の変更(定款記載の目的)

これらの変更があったとしても変更届を提出しない場合は行政指導の対象となったり許可の取消しになる可能性もありますので注意が必要です。

変更届と決算変更届について

変更届という名称の中でも「決算変更届」というのがあります。

変更届は商号や役員、経営業務の管理責任者、営業所技術者など、許可の内容に関する変更で提出するもので変更事項が発生したらその都度、または一定期間内に提出が義務付けられています。

決算変更届(事業年度終了届)は、事業年度が終了するごとに提出が義務付けられています。決算を確定して、財務諸表が作成された後に、その内容を許可行政庁に届け出をします。提出期限は、原則として事業年度終了後4ヶ月以内となっています。

  • 決算変更届には、直前の事業年度における次の書類を添付します。
    • 工事経歴書
    • 直前3年間の各事業年度における工事施工金額
    • 財務諸表(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表、付属明細書)
    • 事業報告書(株式会社の場合)
    • 納税証明書(法人税、消費税)

決算変更届は、許可行政庁が建設業者の経営状況や施工能力を把握するための書類で、未提出の場合には、更新申請が受け付けられなかったり、新たな許可申請ができないなどの可能性があります。

更新と変更届の必要書類

更新と変更届は、多くの書類が必要となります。主なものを以下にまとめます。

主な更新申請の必要書類

建設業許可申請書
役員等の一覧表
経営業務の管理責任者証明書、略歴書
営業所技術者証明書、略歴書、資格を証する書面(実務経験の場合は証明書)
健康保険などの加入状況を証する書類
財産的基礎を証明する書類
納税証明書
工事経歴書
定款
国家資格者等・監理技術者一覧表
使用人数一覧表

主な変更届の必要書類

変更届出書
変更内容を証する書面

決算変更届の必要書類

変更届出書(事業年度終了届)
工事経歴書
直前3年の各事業年度における工事施工金額
財務諸表
株式会社の場合は事業報告書
納税証明書

更新、変更届け、決算変更届は電子申請できるの?

国土交通省が推進する「建設業許可・経審電子申請システム」により、一部都道府県を除き、建設業許可の更新・変更・決算変更届も電子申請が可能になってきました。利用には「GビズIDプライムアカウント」が必要です。

建設業許可の更新、変更届、決算変更届は、電子申請の導入がすすめられていますが、現状では、都道府県によって電子申請の対応状況が異なっており、すべての申請・届出が電子申請に対応していません。

国土交通省は、建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCISS)の導入をすすめており、いずれは電子申請が主流になると思われます。

都道府県による違い

建設業許可の手続きは、基本的には建設業法に基づいているので全国共通ですが、細かな運用や必要書類、手数料、電子申請の対応状況などは、各都道府県によって異なっています。申請や届出の場合には、営業所を管轄する都道府県庁の建設業許可の部署に確認したほうがよいでしょう。