建具工事とは?内装工事との違いは?というご質問がよくあります。建具工事にも建設業許可は必要なのか?内装工事との違いや取得要件を詳しく解説します。
建具工事とは?
建具工事とは、木製または金属製の戸、障子、ふすま、サッシ、ドアなどの開口部に取り付ける工作物の設置や加工をする工事のことです。住宅やオフィス、店舗などの出入口や間仕切りの設置、交換、修繕などが対象となります。

建具工事と内装工事の違い
建具工事と混同されやすいのが「内装仕上工事」ですが、建設業法には29種類の専門工事の許可区分がありますが、「建具工事」と「内装仕上工事」は区分されています。
建具工事はドア・窓・障子など、可動式の仕切りを取り付ける工事であるのに対して、内装仕上工事とはクロス貼り、床仕上げ、天井仕上げ、パーテーション設置など、室内空間を仕上げる工事です。
建具は「開閉できる部材」に関する工事であり、壁や天井の仕上げ工事とは区別されています。内装業者がドアを取り付ける場合もありますが、法律上は建具工事業に該当するため、建設業許可の区分も異なっています。
- 建具工事の具体例としては次の工事があります。
- 金属製サッシの取付、交換
- 木製建具(ドア、窓枠)の取付、交換
- シャッターの取付
- 自動ドアの取付
- ふすま、障子の製作・取付
- 可動式間仕切りの取付
- 内装仕上工事の具体例としては次の工事があります。
- 天井仕上、壁のクロス張り
- 間仕切り、床仕上(カーペット、フローリングなど)
- 吸音板・遮音壁の取付
- (造作)家具の設置

建設業許可とは
建設業許可とは、請負金額が500万円以上(税込)の工事を行う場合に必要となる国土交通省または都道府県の許可制度です。
建設業法に基づいて専門工事ごとに29業種に区分されており、それぞれの工事を請け負う場合に許可を取得する必要があります。
軽微な工事(500万円未満の工事、木造住宅の1,500万円未満など)は許可は不要ですが、一定規模以上の工事を請け負う場合は必ず許可が必要です。
建設業法には次のように記載されています。
建設業法第3条 建設業許可
ア 建設業を営もうとする者は、軽微な建設工事のみを請け負う場合を除き、建設業法第3条の規定に基づき、建設業の許可を受けなければなりません。
イ 「軽微な建設工事」とは、工事1件の請負代金の額が建築一式工事以外の建設工事の場合にあっては、 万円未満、建築一式工事にあっては 500万円未満又は延べ面積が 1,500平方メートル未満の木造住宅の工事をいいます。
建具工事に建設業許可は必要?
建具工事であっても請負金額が500万円以上となる場合は建設業許可が必要です。規模が小さいリフォームや個人宅のドア交換などは無許可でも施工できますが、マンションや公共工事、大規模建築物における建具設置工事では多くの場合建設業許可が必要になることが多くなります。
また、元請業者や公共発注者からは、500万円未満の工事であっても「建設業許可業者であること」を取引条件とされることが多いため、事業拡大を考えるなら早めの許可取得が有利になります。公共入札するには必ず建設業許可が必要になります。
建具工事の建設業許可要件
建具工事業で建設業許可を取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。
経営業務の管理責任者(経管)
建設業に関して5年以上の経営業務経験を有する者、または法人役員や個人事業主としての経営経験者が必要です。
営業所技術者(旧専任技術者)
建具工事業における資格または実務経験を有する技術者が営業所ごとに必要です。
営業所技術者は2024年12月に専任技術者から名称が変更になりました。
誠実性
建設業法違反などの不正がないこと。
財産的基礎
一般建設業の場合は自己資本500万円以上、または500万円以上の資金調達能力があること。
建具工事の営業所技術者の資格
次の要件を満たす者が営業所技術者として配置されていなければ建設業許可申請はできません。
資格による要件
- 建具工事の営業所技術者として認められるのは、たとえば次の資格・経験です。
- 一級建築施工管理技士
- 二級建築施工管理技士(仕上げ)
- 建具製作・建具工・木工・カーテンウォール施工・サッシ施工(1級)
- 建具製作・建具工・木工・カーテンウォール施工・サッシ施工(2級)
実務経験による要件
- 資格がない場合でも次の実務経験があれば専任技術者になれます。
- 指定学科(建築学、土木工学など)の高校卒業後5年以上、または大学・高等専門学校卒業後3年以上の建具工事に関する実務経験。
- 指定学科以外を卒業、または学歴不問の場合、10年以上の建具工事に関する実務経験。
建設業許可の申請手続き
建具工事業の建設業許可申請は、営業所の所在地を管轄する都道府県知事または国土交通大臣に対して行います。
事前準備
経営経験・資格証明・決算書・登記事項証明書・納税証明書などを確認しておきます。
・申請先
営業所が1つの都道府県内にある場合は、都道府県庁(建設業担当課)です。大阪であれば大阪府庁になります。
営業所が2つ以上の都道府県にある場合は、国土交通省の地方整備局
大阪府庁建築振興課 建設業許可グループ
大阪市住之江区南港北1-14-16 大阪府咲洲庁舎1階
・申請書類
- 次の主要な書類を含めて書類類を作成し提出します。
- 許可申請書
- 役員等の一覧表、略歴書(経営業務の管理責任者に関する情報)
- 営業所技術者証明書(資格証明書や実務経験証明書)
- 財務諸表(貸借対照表、損益計算書など)
- 残高証明書(財産的基礎を証明)
- 誓約書(欠格要件に該当しないことの誓約)
- 営業所の写真、地図
・審査
一般建設業の場合は1~2か月程度、特定建設業はさらに長期になります。
・更新
許可後は5年ごとに更新が必要です。



