「建設業法」と「建設業許可」、そして特に重要な「一般建設業」と「特定建設業」の違いについて、初心者でもわかるように具体的な事例を入れて解説します。
建設業法とは
建設業法とは、建設工事を適正に行い、国民を守るための法律です。
目的
建設業者の資質向上、建設工事の請負契約の適正化、建設工事の適正な施工の確保、発注者の保護、建設業の健全な発展の促進、公共の福祉の増進などを目的としています。
この法律は、ずさんな工事や工事中の事故を未然に防ぎ、国民を守るためにルールを定めています。
内容
建設業許可制度(後述)、請負契約の規則、請負契約の内容の明確化、一括下請負の禁止などが定められています。
また、建設工事の施工には、一定の資格を持つ技術者の配置が必要とされており、下請負に関する規制や、下請負業者に対する不当な取扱いを防止するための規定もあります。
罰則
建設業法に違反した場合、営業停止や営業禁止、または刑事罰の対象となることがあります。

建設業許可とは
建設業許可とは、簡単な工事以外の建設工事を行うには、都道府県知事または国土交通大臣の許可が必要とされる制度です。
この「簡単な工事」は、行政用語で「軽微な工事」と呼ばれています。
軽微な建設工事とは
1件の請負代金の額が500万円(税込)未満の工事
建築一式工事の場合、1件の請負代金の額が1,500万円(税込)未満、または延べ面積が150平方メートル未満の木造住宅工事
これら2つの条件に該当しない工事には、建設業許可の申請が必要となります。
例えば、個人の戸建て住宅の室内リフォームでは、一般的に500万円に達することはあまりありません。しかし、アパート一棟のリフォームやマンションの大規模修繕では、500万円を超える場合もあり、建築一式工事であれば1,500万円を超えることもあります。
一般建設業とは
一般建設業とは、建設業許可のうち、特定建設業以外の許可を指します。
特に、下請けとして工事を請け負う場合や、元請けとして下請けに発注する金額が一定額未満の場合に必要となる許可です。
元請でも下請でも取得可能ですが、大規模な工事や、多額の下請け管理が必要な工事には向いていません。

特定建設業とは
特定建設業とは、大規模な建設工事を行う場合に必要な許可です。
具体的には、工事を下請けに出す際、下請代金の総額が5,000万円以上(建築一式工事の場合は8,000万円以上)となる場合に必要となります。
例えば、マンションの新築工事を施主から直接請け負い、基礎工事、鉄骨工事、内装工事、電気工事などの専門工事を下請業者に発注する場合、これら下請代金の合計が基準額を超えると特定建設業許可が必要になります。
*下請契約の締結に係る金額について、2025年(令和7年)2月1日より、建築工事業の場合は7,000万円から8,000万円に、それ以外の場合は4,500万円から5,000万円に、それぞれ引き上げられました。
一般建設業と特定建設業の違い
一般建設業と特定建設業の最大の違いは、下請代金の総額と、配置する技術者の要件にあります。
配置義務のある技術者
工事現場には、一定の資格を有する技術者を配置する義務があります。
一般建設業の場合:主任技術者
特定建設業の場合:監理技術者
監理技術者は、1級土木施工管理技士や1級建築士など、指定建設業7業種の1級国家資格を保有していること、または建設業22業種において一定の実務経験を有していることが要件となります。
さらに、監理技術者講習を修了し、監理技術者資格者証の交付を受ける必要があります。
監理技術者は、主任技術者とは異なり、大規模な工事現場で下請業者を含めた施工全体を指導・監督する役割を担います。
まとめ
簡単にまとめると、一般建設業は「ひとり親方」や「工務店」向けと言えますし、特定建設業は「比較的大規模な建設会社」向けというイメージになります。